残暑お見舞い申し上げます　槇小奈帆 　 　皆さん、お元気ですか？　私は夏バテ知らずで食欲も旺盛、相変わらず陸上で水中で、バタバタとやっております。連日のうだるような猛暑に、ビールやクーラー、衣料品に至るまで大売れ、気温１度上昇の経済効果は大変なもののようです。日本近海の水温も上昇して、マグロの捕獲量は記録更新とか。「地球温暖化はもう取り返しのつかないところまで来ているんだ」、どこかでヒヤッとしながらも、本マグロの赤身に思わずニンマリしたりして…。このところ滅入るような話ばかりでしたから、元気を取り戻した人たちの溌剌とした顔をみるのはやっぱりうれしいことだけれど、高山植物の分布も、昆虫の生態系も大きく様変わりしているそうで、ズズッ、ズズッと、足の下で何かがずれ込んでいます。 　 「ここ、ここで歌いたい！」 新国立劇場の小劇場に私の心は捕らえられていました。瞬時に一曲めの歌が浮かんできて、その夜、詩まで出来ちゃったのですから不思議なものです。それからは寝ても醒めてもそればかり…。舞台と客席との心地よい距離感、木とコンクリートの懐かしい質感とシンプルさ、装飾を排除することがこんなにも美しかっただなんて！ジァン・ジァンやパリのボビノ劇場も彷彿としてきました。十二月十四･十五日、私、思いっきり歌います。スケジュールを今から空けて、皆さん、絶対、遊びに来て下さい。 十二月十日は越ヶ谷高校の芸術鑑賞会にお招き頂きました。以前、ＮＨＫの放送を聴いて下さった増田英樹先生からの嬉しいご連絡でした。ご理解下さった校長先生や教職員の皆さんにも感謝です。ロック系メガコンサート時代の高校生がこうした歌に共感してくれる…、私はいつも勇気をもらいます。スタッフも大ノリです。ペンライトはいらないよぉ、めったに聴けない歌を引っさげて、またオバサン･パワーを全開しますから、全校生の皆さん、待っててね！ 「櫻さんが優勝しました！」 小川君から電話をもらって、「なぬッ！？」。 「お邪魔シマ〜スってな感じで、楽しく歌っておいでね」なんて言ったのが、もしかしたら良かったのかなぁ…。神戸から帰ってきた二人は顔つきが変わっていました。生き生きとして、なにかをやり遂げた後の清々しい若者の顔でした。でも、手放しでは喜べなかったのです。かつてシャンソン・コンクールといえばプロ歌手の登竜門、優勝者にはレコードデビューや沢山の舞台が待っていました。銀巴里やシャンソンを心から愛しているオーナーのお店も全国にあったし、尊敬できる先輩もいて、若い歌手はずい分と面倒をみてもらったものです。今はここもすっかり様変わりです。それでもシャンソンのエスプリに心魅かれ、勉強している若者がまだこんなにいることに驚かされます。全国応募者総数六百数十名といえば、やはり激戦。一曲３分の世界に青春を賭けて臨んだ彼ら。せめてコンクールの優勝者には、各地で開催される「パリ祭」に出演させてあげてほしい…、改めて切に思いました。ブラッサンスはピア･コロンボに手を差しのべ、ピアフはアズナブールやデュモンや多くの才能のある若者を、グレコもしかりです。時代を受け止め、新しい感覚の若い芽を守り育んであげられるのは、厳しくもよき時代を生きた大人たちでしかないのです。ひたむきに稽古に励む彼らの汗を見ながら、鼻の奥がツンと熱くなってきました。そして、自分に一体なにが出来るのか、考えさせられています。 ちょっと沈んじゃったかな。ごめんなさい。 暑さ厳しい折、皆様、どうぞご自愛下さい。 ←マキの気まぐれページ　トップへ 槇小奈帆HPトップ イベント情報｜プロフィール｜マキの気まぐれページ｜マキのシャンソン教室 CD BOOK SHOP…ネレイス（ルパン3世、峰不二子テーマ曲ラブ・スコール収録）はこちら 関連記事および寄稿など｜ プロデューサーはあなた！｜ラブスコール誕生秘話おすすめ 槇小奈帆つれづれブログおすすめ｜YouTube動画配スタートNEW このホームページの無断転載・複製を禁止します。 Copyright (C) 槇小奈帆ホームページ　Maki's Room