コケティッシュで小悪魔的、美に魅せられたヴォルーズ、抜群の運動神経とちょっとオッチョコチョイな性格、謎だらけの不二子ちゃんは本当に魅力的な女性です。ルパンにとって敵なの？味方なの？　紛れもないアキレス腱的な女性であるところもファンにとってはたまりません。それになんと言っても一匹狼で徒党を組まないってところに、私はとても惹かれます。

　 そんな不二子ちゃんのテーマ音楽の作詞を依頼されたのは、鹿児島のライヴに出発する前日か前々日のことでした。（私が歌手でもあるということが全国版としてはあまり知られていないのがザンネ〜ンだけど…。）締め切りは2・3日後で超急ぎの仕事だったと思います。でも、その時、実は私、不二子ちゃんの存在を知らなかったの。「えッ！　ルパン�V世？　峰不二子？　ナニ？　ダレ？　どうしよう…」って感じでした。日本ＴＶの人気番組であることも漫画アクションに掲載されていることも、本当に私、ゼ〜ンゼ〜ンだったんです。浜松町の改札口でプロデューサーからの資料を受け取りました。大野雄二さん作曲のロマンティックな作品は私好みだったので機内ですぐ覚えましたが、不二子ちゃんのキャラとの差異に頭をかかえて…。それが鹿児島空港に着いたとたん、南国特有のバケツの水をひっくり返したような物凄いスコールに見舞われたんです。「これだッ！」って思いましたね。このパッション、このエモーション、これでいこうと決めて、その夜事務所に電話を入れたんです。焼き鳥屋さんから…。「愛のスコールかラヴ・スコールでいこうと思うんだけど、どう？」って。こうした仕事はまずはキャッチ・フレーズが第1、すぐにＯＫが出ました。

　あれからもう30年、最近では旬の歌手たちがリメークしてくれたり、リニューアルされたパチンコ機も登場して、不二子ちゃんって女性は永遠なんだなって、嬉しくなっちゃいます。前述したように私も歌手で、3枚目のＣＤ「ネレイス」の1曲目にフランス語版「ラヴスコール」を収録しています。パリの川岸を歩いていたら見覚えのある顔・顔・顔の漫画本があって、フランス版の「ルパン3世」だったの。すぐに買ってページをめくったら、不二子ちゃんのキャラが淫靡な悪女に変えられていて悲しくなったんです。強気で生きている女だって、時には海を見ながら涙ぐむ時だってある…、そう、不二子ちゃんの応援団の一人として、コンサートの時はいつもこの歌を歌うようにしています。