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「子守唄を知らない子供」、シングルカットしました。
2008.6.23 槇小奈帆
気にはなっても気ぜわしい日常にまぎれてしまうこともあれば、日ごとに心の中いっぱいに広がっていくこともあります。熊本県の慈恵病院「こうのとりのゆりかご」を知ったのは昨年のことでした。過酷な事情があって、どうしても自分で育てられない赤ちゃんを「緊急避難」として「赤ちゃんポスト」を設置。賛否両論の吹き荒れる中で、「大人側にどんな事情があろうとまずは小さな“いのち”を救いたい」と行動された蓮田太二先生の慈愛と勇気に、激しく心を揺さぶられたのです。私は長いこと“いのちのドラマ”を歌い続けてきました。昨今の胸苦しい無機的な事件の数々、切り捨てられる人たち、ネット社会は今も絶え間なく、肉声の届かない子供たちを産み続けています。「考えているより行動しなければ…」、そう思いました。世界にはおびただしい哀しみや苦しみが蔓延しています。戦争、災害、飢餓、病気…、大人や社会の犠牲になるのは、いつだって子供や弱く小さきものたちです。動物園や海水浴場で迷子になった子供が、お母さんを見つけたときの顔…、しっかりとお母さんにしがみつくその姿に、胸を熱くするのは私だけではないでしょう。そしてあらためて思うのです。子供にとってお母さんは100％、200％なのだと…。実母であれ里親であれ、子供は抱きしめられて、そのぬくもりの中でこそ愛する喜びや愛される幸せの“愛の九九”を学ぶのだと…。 私は音楽の力を信じています。これまで長いこと歌い続けられたのは、沢山の方々の真心があってのことです。今、人生の優先順を考えたとき、このＣＤ制作を決心しました。この歌たちが、少しでも誰かのお役に立てることを切に願っています。多くの仲間たちや知人・友人に支えられて、ようやくＣＤが完成いたしました。ミュージシャンは、日本を代表する第一線のスタジオ・ミュージシャンの皆さんです。ジャケットの可愛い絵は、ドイツ文学者の池内紀さんが引き受けてくださいました。収録した楽曲はいずれも私が長いこと歌い続けてきた作品です。「子守唄を知らない子供」は高校の芸術鑑賞会やコンサートで「印象に残った歌」の項でいつも第一位です。「シングルマザー」は厳しい現実のなかでも、一生懸命に子育てをしているお母さんに、ささやかなエールを送りたいと思い収録しました。「花を摘もう…友よ」は、自戒をこめた明日へのメッセージソングです。このＣＤは家庭の事情で両親から離れて生活している子供たちの寮や施設、２４時間体制の託児所などにお贈りしております。この活動には特定の団体や活動母体などはありません。また、もし届けてほしい施設などにお心当たりがありましたら、ご一報を戴けると嬉しいです。きっとお届けしたいと思います。末尾になりましたが、皆様のご健勝をこころよりお祈り申し上げます。 かしこ 2008年6月吉日 |
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